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奥行の長い2棟現場で個性をどう引き出す?

今回の物件は、世田谷区にある2棟現場です。両棟とも敷地条件と規模はそれほど違いがなく、各棟で個性を出せるようプランニングを思案しました。同じ現場とは思えない、間取りやコーディネートの全く異なる2棟が完成したと思います。
プランニング
2棟とも敷地自体は高低差がなく計画しやすそうな土地だなと感じましたが、その中でも各棟の隣地条件の違いが大きなポイントでした。



A棟
A棟のテーマは「大人のための落ち着ける邸宅」。1階には前室とシステム収納付きのWICを完備した豪華な主寝室を計画しました。ウォークスルータイプのWICには調整可能なハンガーパイプや十分すぎるほどの引き出し、収納付きのミラーを備え付け、また扉を2つ作ることで回遊動線を叶えました。収納量や構成などを家具屋さんとたくさん話し合ったので、使い勝手抜群な内容に仕上がったと思います。とくに正面のミラー収納はコーディネートのチェックもできるので付けて大正解でした。


入ってすぐの前室には主寝室専用の洗面を。





担当した現場では初登場の本格的なシステム収納
物件のテーマに沿ったダークカラーのコーディネートがとくに際立つ2階は、リビングからランドリールームまで開放的な空間が直線で繋がっています。LDKの壁には北イタリアの天然石を思わせる大きな斑点の入ったタイルを大胆に使用しつつもアクセントクロスとの組み合わせで程よいバランス感を演出しました。






キッチン廻りには1階主寝室と同様に回遊動線を入れて利便性を考慮しています。
ランドリールームのキャビネットは1階のシステム収納と同じ家具屋さんに製作していただきました。コンセント付きなのでアイロンなどもここでできますし、窓があるので換気も可能ですよ。家具屋さんのキャビネットということで、面材もコーディネートに合わせてもらい作りもしっかりしていて、まさに理想のランドリールームに近づいた気がしています(笑)



西側の抜けを利用した3階のバルコニー

B棟
2階にLDKと水廻りを配置したアイネストのオーソドックスな間取りではありますが、広々とした玄関や1階~3階にスケルトン階段を計画しインパクトのある構成としました。
まずドアを開けると目の前に広がるのは開放感溢れる玄関スペース。ホールと廊下の仕切りをなくしスケルトン階段が見えるような仕様にしたため、光の差し込みや空間の抜けを感じながらも豪華で印象的な雰囲気を演出しました。
また、玄関先には大容量のSICを設けたので、家族全員の靴やゴルフバッグなどもたっぷりと収納することができ置き場所に困ることはありません。



吉岡徳仁デザインのペンダント照明「Tear Drop」

SICは2方向からの出入りが可能


階段下を利用した洗面。壁面にお好みのオブジェ等はいかが?


前述したようにB棟は両隣に建物が建っているため明るさの取り込み方が課題でしたが、リビングの掃き出し窓やダイニング上のトップライト、キッチン部分はスケルトン階段越しに光が入るような設計で懸念点を解消しました。
A棟とは対比して、家族の時間が華やかになるような爽やかな色合い・柄を軸にまとめたのもポイントですね。









2層に重なるスケルトン階段は圧巻!

間口に対して奥行がある敷地の建物は間取りが限定されてしまうことが多いですが、各棟のわずかな敷地条件の違いがプランによってしっかりと昇華できた現場だと思います。全く異なったデザイン・間取りの2棟現場で、どちらが好みか問いかけたくなる物件が完成しました。