Contact
Contact
Story _ 17

Theme.

プライバシーと採光を両立した快適空間の作り方は?

今回の物件は世田谷区の1棟現場となります。世田谷ボロ市が開催されるボロ市通りから少し住宅街に入ったところにあり、とても閑静な地域です。1種中高層地域・2種高度と高度斜線に余裕があるため、容積をいっぱいに使ったフルボリュームな計画にすることを目指しました。

Floor
3階建て
Location
世田谷区

プランニング

道路以外の3方全てが建物に囲われているため、隣地の窓位置を考慮しつつ建物の明るさを確保できるようにプランニングする必要があるなと思いました。また、敷地に対して道路が斜め(割と急な角度)に接し一方通行であることや敷地全体が整形ではないことなど、マスタープランの段階から必要なボリュームを意識して企画を進めていきました。

プランについては、1階水廻りプランと2階水廻りプランの2案を提示し、「機能的な企画になること」を共通事項としました。結果的に延床面積に含まれない1階外部空間を広げ、その分を他の居室や4層目に充てることで間数を増やし、2階にLDKと水廻りをまとめた現在のプランが承認されました。各階に洗面もあり、機能的な間取り構成を叶えられたと思います。

外構

広さに余裕のある外構は承認会議の前からコンセプトを決めて、漠然とやりたいイメージを構築しながら計画をしていました。シックな色合いを基調としながら足元には天然石の石貼りなど自然素材を感じさせる要素を使い、飽きさせない見栄えを意識しています。また、部分的に入ってくる木目で温かみを、ブラックのアルミ材を用いて空間にシャープさを取り入れるよう心掛けました。

200mm×1200mmの細長いタイル

門塀は、門柱一体型の間接照明による立体的な陰影表現やステップ下部のライン照明で浮遊感を演出し、歩行動線を明確にする足元照明なども組み合わせ企画しました。夜景の美しさも相まって良い仕上がりになったと思います。設計段階から外構計画をある程度イメージすることの重要性を感じましたね。

玄関脇には、日常での使いやすさと美観を両立させたアイテムとしてコンクリート製のベンチと同デザインの立水栓を使用しました。ロックガーデンを取り入れることで、自然素材との調和を図り無機質になりすぎない柔らかな雰囲気を出すことができたと思います。
今回の物件は、外部から玄関までのアプローチの計画に関してとくに機能性と美観を追求していきました。お客様にとって建物だけでなく外構もライフスタイルのシンボルとして相応しいものになるよう、これからも研鑚を重ねていきたいと感じました。

ベンチの脚は片方をスチールにすることで浮遊感をプラス

玄関

ドアを開けると天井高2.4mの玄関スペースが現れます。高さがあり玄関に繋がった廊下も奥行きがあるため、実際の大きさよりも空間を広く感じられると思います。また、廊下の奥にラインライトを導入することで上品な明かりをもたらすホテルのエントランスのような雰囲気を演出しました。
壁には外壁のタイルと同じものを色違いで採用。シューズクローゼットの面材と色味を合わせ、横の流れも意識しています。全体的に優しく明るさがある中に窓フレームやドア枠、ガラス扉など部分的に黒を入れて輪郭がはっきりとするようにしました。

外壁と同じタイル。玄関には横向きにして取り入れました

2階LDK

テーブルを置いても余裕のあるダイニング後ろのスペースは、ちょっとした子どもの遊び場やペットのケージを置くなどいろいろな活用ができると思います。設計当時息子が1歳半くらいで、自宅のリビングど真ん中にマットを敷いていたのですが、リビング・ダイニングの空間をいじることなくフリースペースがあるといいなと思っていました。実生活での経験を反映させ、不便さを感じさせないような企画を実現することができてよかったです。
敷地形状を最大限活かした斜めのバルコニーから光がたくさん入る明るい2階空間となりました。

キッチンの床にはミラノ近郊のグレ地区で採取できる石灰岩-チェッボ・ディ・グレ(Ceppo di Grё)-を模したタイルを使用。全体的に木目で柔らかい印象の空間をダークトーンのタイルで引き締めました。ハードメイプルの床材とコントラストで強すぎるかもと思いましたが、実際に大面積で合わせてみると相性が良く、LDK全体のまとまりと高級感を演出できたと感じました。

全体を通して建物の完成度が非常に高く、大工さんの細やかな施工のおかげで納まりの細部までこだわりを感じる物件になりました。施工中の現場で何度も質疑を繰り返して建物をより良い形で納めようとする姿勢に感銘を受けましたし、また施工をお願いしたいと強く思いましたね。

名栗(なぐり)と言われる日本の伝統的な木材加工技法を工業製品で再現した化粧面材。照明を当てることで視覚的・触覚的な美しさを感じることができます。

Review

内外共に明るさがあり、また狭さを感じさせない機能性を考慮した物件が完成したと思います。限られた敷地の中で外構や2階の斜めバルコニー、屋上といった外部空間を最大限広く確保できた点もよかったです。個人的には内部の木目と石調タイルのコントラストも非常に気に入っています。外構は初めて使う材料が多かったので、ほぼ常駐といっても過言ではないくらい現場で職人さんと打ち合わせして作ったのを思い出します。今回選定した商品は非常に使い勝手が良いなと感じたので、次回の物件でも積極的に取り入れていきたいと思いました。

Chief Producer:Icarus
無類の石好き。自分が住みたいと思える家をお客様にがモットー。宅配ボックスのカタログ集めています。
子育て奮闘中。趣味は音楽で、自宅には防音室を完備。