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Story _ 19

Theme.

外部空間で広がる暮らしの可能性は?

今回の物件は世田谷区の閑静な住宅街にある1棟現場です。敷地面積を上手く使うことで生まれた外部空間に様々な要素を盛り込み、デザインにも機能性にもこだわりました。

Location
世田谷区
Floor
3階建て

プランニング

南側に向かって敷地が広がっていくような台形の土地で道路も広く施工がしやすそうだなと思いました。

敷地面積を考慮し、延床を容積率の許される限り企画することに重点を置いたStory_05「容積率100%でどう作ろう」を踏襲したプランになりますかね。3階建てで1層当たりの面積を抑えることにより外部空間にゆとりが生まれるため、その余白部分をどのような外構にするか非常に悩んだ物件になります。南側の区画や外部空間をどのように取り込むのか、建物の形をどのように落とし込むのかが設計のプランにおいて鍵になるなと思いました。

外構

50/100の3階建てプランは外部空間が肝となるため、外構計画についてはパースなどを使い事前にイメージを伝えていました。

近隣の景観から浮かないよう赤茶系の色味でまとめた外観は、今までにあまりないヴィンテージレンガを用いたブルックリンスタイル風に仕上げています。反対に、ゆとりのある車庫や玄関アプローチの足元はベージュやグレーなどの明るい色を基調として、広さが強調されるような空間づくりを心掛けました。

井桁組の花壇は洗い出しの土間との繋がりを意識し、
縁石の隙間から植栽帯に配置したガーデンロックや下草の表情も見えるよう工夫しました

門扉脇にはベンチを設置。横のスペースは自転車置き場としても利用できます

初使用のヴィンテージレンガ

門をくぐると目に入ってくるのは特別にあつらえた立水栓。シャワーホース付きの混合水栓でお湯も出ますよ。お散歩終わりのお手入れやシャンプーなどペットの洗い場として1年を通して快適に使うこともできます。このような企画は初挑戦でしたが、面白い試みでした。

リード用のフックも完備

今回の物件は外構部分にベンチを多く設置しています。ベンチの代わりに植栽を置くことなどもできましたが、同じものが連続していると圧迫感が出てしまうことも。機能性も考えるとベンチにして正解でしたね。

玄関前のベンチ

居室前のベンチは室内からの眺めも◎

2階

2階LDKはリビングとダイニングで空間の切り替えが分かるような配色を意識しました。今回のプロジェクトではLDKに意匠的に強い色を入れることで色合いの輪郭がぼやけないようにするため、大きい面積で黒い要素を入れたく、キッチンに黒い天板とダークグレーの面材や壁面のタイルを合わせることで実現しました。

また、キッチン側からリビング・ダイニングに入っていく動線のアイキャッチとして、ダイニングに出窓を設けています。出窓は延べ床面積に算入されないため、室内空間を広げる手法としても取り入れました。集成材を額縁のようにはめることで意匠的にもインパクトのある場所になったと思います。

集成材の枠色よりもトーンを落としたウッドブラインド。出窓の奥行きをさらに感じられ、ダウンライトとの相性もバッチリ

リビングについては奥行きの深いバルコニーを北側に配置し、見た目以上に広く開放的に見せることができたかと思います。また、天井付近の壁にミラーを設置することで異素材の分断と調和を狙い、視覚的な抜け感を演出しています。

天井にレッドシダーの木目を貼ったリビングは、ダイニングとの印象がガラッと変わります

個性的なモザイクタイルを使った洗面はダークトーンでクールな印象に

3階

プラン計画当初、3階で使える最小面積を求めてから1.2階をプランニングしました。
そんな3階に上がり目の前に現れるのはルーフバルコニー。十分すぎる広さに雨ざらしではない水栓も設置しました。子供用のプールを置いて、大人は屋根のある日陰で見守るなんてこともできます(笑)

勾配天井にすることで高さ方向への広さを確保できた居室2部屋は、畳数以上のゆとりを感じられます。

さらに共用収納として小屋裏収納を設けました。こちらは季節物の家財等を入れるスペースとしても使えるので、今回の物件に取り入れて正解だったと思います。各階層で床面積に算入されない手法を組み合わせながら、建物の有効空間を最大限に生み出すことができました。

Review

余すところなく床面積を使うことに加え、各階ごとに暮らしのイメージを想定しながら、どのように外部空間を繋げるか思考を重ねた物件だったと改めて感じました。外構が本当に大変だったので、見栄えよくできあがり満足しています。個人的には井桁組みの花壇と洗い出し土間の繋がりがうまくできたなと思いました。広い外部空間を利用した外構の見せ方を毎現場新たに挑戦しているので、その点を注目してほしいですね。

Chief Producer:Icalus
無類の石好き。自分が住みたいと思える家をお客様にがモットー。宅配ボックスのカタログ集めています。
子育て奮闘中。趣味は音楽で、自宅には防音室を完備。