Theme.
敷地の間口を活かした間取りをどう計画する?

今回の物件は、世田谷区にある2棟現場です。敷地の間口の広さを活用したLDK空間はもちろん、生活動線や将来を見据えたフレキシブルなプランニングにもこだわり、エレガントな雰囲気が際立つ唯一無二の邸宅が完成しました。
プランニング
周辺を駒沢公園通り・駒留通り・世田谷通りに囲われた車でのアクセスが非常に良い場所です。A棟・B棟ともに道路に対しての敷地の間口が広いため、道路側にリビング・ダイニング・キッチンを並べる構成にしたいと感じました。

他には車庫入れのしやすさも重要視しました。角地A棟の車庫は北側と西側に向けることが可能でしたが、電柱移設や一方通行などを考慮した結果、どの方角にも出やすく駐車もしやすい西側に決まりました。車庫の間口は4m程度の広さを確保しています。
外構
▪ A棟
ポーチ部分の延床面積算入を回避するため、門扉をつけながらもオープンな作りに。前面道路は人や車の通りが多いので、やんわりと仕切るために花壇の植栽の樹種にはこだわり、置き型のプランターやベンチも計画しました。





100角タイルを使い上品な雰囲気に

玄関前のベンチと置き型プランター
▪ B棟
A棟の端正な石畳風タイルと雰囲気を変え重厚感のある乱形石を使用しています。玄関部分のアイキャッチにもなる門塀は、ライトアップ時の陰影も映えるように凹凸の石貼りにしました。ホワイトが新色で追加されていたので、思い切って採用してみました。



A棟とはまた違う印象を引き出す乱形石
意匠
A棟はゴールド、B棟はシルバーをテーマカラーに設定し、明るく華やかな色味でまとめています。全体のコーディネートテーマは「エレガント」とし、統一感と上質感を追求しました。玄関にはそれぞれのテーマカラーに沿ったアルミ製のモザイクタイルを設え、アイキャッチとして目を引く印象的なものになったと思います。(アルミ製なので施工は大変そうでした…)
--scaled.jpg)





B棟の玄関にはピクチャーレールをつけたので絵やポスターを飾ることもできます。家を出るときや帰宅したときに心が満たされる、そんなお気に入りの空間に感じてもらえたら何よりです。




LDK
前述したように2棟共通して敷地の間口の広さを活かし、生活の中心であるリビング・ダイニング・キッチンを道路側に沿ってゾーニングしたことで、自然の光がたくさん入り込む心地良い空間ができあがりました。
水廻りは1階にありますが、家事動線を優先しランドリールームを2階に計画しています。十分すぎる広さがあり、キッチンからも廊下からもアクセスが可能な2way回遊動線なので毎日の洗濯が少しでも楽に感じてもらえると嬉しいです。

▪ A棟
A棟の見どころは、吹き抜けが印象的なダイナミックなリビングです。取り扱いの難しい光沢のある大理石調大判タイルを採用しました。強めのマーブル柄を天井まで貼り、空間に上品さとインパクトを与えることができたと思います。海外製の存在感あるペンダントライトとも相まって印象深いリビング空間に仕上がりました。





海外製のペンダントライト


2方向から出入りできるランドリールーム

▪ B棟
オーソドックスにいくと道路側に1m程度の奥行のバルコニーを計画するところなのですが、南側にマンションの駐車場があり抜けていたので、幅・奥行ともに広さを確保したインナーバルコニーを設けました。リビング横に続いているので、延床面積以上に広がりを感じられる間取り構成になったのではないでしょうか。




腑を多く用いた大理石調タイル

リビング横に設けたインナーバルコニー


タイルや柄の入ったクロスなど色々な素材を使用したLDK
同じような色調で合わせ統一感を出したため、どんなインテリアも合わせやすい


B棟のランドリールームも2方向から出入り可能。広さもきちんと確保しました。
3階
B棟の3階には暮らしの変化に対応できる間仕切り可能な1部室を企画しました。部屋の一角を衣裳部屋にしたり、ライフステージの変化に合わせて部屋を仕切り4LDKとして使うなど、住まわれる方の需要に合わせフレキシブルに使えると思います。




A棟とB棟では建物のサイズ感こそ異なりますが、それぞれ敷地の良さを活かした間取りを計画できたと思います。内装についてもテーマカラーで棟ごとの個性を分け、それぞれのキャラクターがしっかりと立っていました。そのため、いわゆる「THE建売住宅」といった印象は感じられないと思います。空間一つひとつに愛着を持ちながら、日常のひとときがより心満たされるものとなれば嬉しいです。
塩系インテリアが好き。趣味はサウナ、水族館。