おうち時間を充実させる空間をどう作ろう？

駅徒歩６分と好立地にも関わらず奥まった箇所にあるため閑静な住宅街となっています。落ち着いた雰囲気の家が合うだろうなという印象を受けました。住宅やアパートに囲まれ都内特有で近隣建物も近いのですが、２階以上については南側にも採光が望める条件でした。そのため、なるべく開口を設けて日光が差し込む明るい家にしたいと思いましたね。また敷地についても、土地形状・北の方角・敷地面積・高低差のないフラットな敷地など恵まれた条件が整っていたので、やってみたかったプランにも挑戦できそうだと思い、プランニングが楽しみでした。

車を入れやすいように門扉は設置していませんが、立地自体がプライベート感のある土地なので、手前の塀でポーチ部分を囲み、ある程度のプライバシーは確保できるように計画しています。

今回のプロジェクトは、Japandi（日本×北欧）をコンセプトに日本的要素と北欧的な暖かみをミックスしながらコーディネートしていて、住宅のいたるところでそれを感じられると思います。外構に関しても、Japandiを盛り込んだものとなっています。どちらにも通ずる要素として自然の素材感を感じられるインテリアにしつつ、アースカラーをベース色として落ち着きある空間を目指しました。

外構の洗い出し　金華砂利 / 塀の笠木　玄武岩

ポスト脇の石張り　石灰岩

地面　大きさの違う玄武岩を3つ合わせたもの

▪エントランス・廊下
エントランスホールから廊下までが長く見えるように、廊下の延長線上に大きな鏡をつけ、扉も半透明にしました。この鏡による効果はもちろんですが、廊下幅が通常よりも50cm程度広くゆとりのある空間が連続しているので、より一層高級感を感じられる場所となっています。

塗壁は、和の要素を表現するために天然土が混合されているものを探しました。土の産地によって色味や質感が異なるため、サンプルをいくつか取り、照明に当てながら吟味しました。今回は初めて取り入れた、美濃白土に玉石を練りこませた材料を使用しています。塗りムラさえも味になっているのではないでしょうか。

塗壁に設置したライン照明も初使用です。照明器具を隠した間接照明が一般的ですが、近年商業施設や店舗等でも増えている「照明器具を露出させる手法」を取りました。あえて露出させることで光の線と伸びを強調し、塗壁と相まって特別感のあるエントランス空間になったと思います。

▪1階洗面
広いスペースを確保できた1階の洗面にもJapandiを取り入れていて、タイルは焼物感のあるもので和風に、黒色の天井とダウンライトで和に寄せすぎない仕様になっています。全体的にぼんやりしてしまうところにアクセントとして黒を入れることで、引き締め効果を出しています。また、照明を1つ足すことで洗練された空間が出来上がりました。

▪照明
3階からバルコニーへ続く廊下にある照明は、三大建築家　伊東豊雄さんの名作「繭玉」

▪意匠壁
石目の斑点模様の多いタイルを使うことで柔らかい印象に。間接照明の光がタイルを照らします。

冒頭でもお伝えしましたが、2階南側に持ってきた水回りの回遊導線は、この物件で最も力を入れた部分です。
キッチン・ランドリースペース・浴室をそれぞれダイレクトに行き来できる造りになっています。

ランドリールームへ個別に行けることで時間に縛られず洗濯物を干すことができ、来客時やお風呂に入る際に洗濯物が邪魔になるという悩みも解消できるはずです。また、南側に設置したサービスバルコニーも活用できるので、忙しいパワーカップルにも最適な間取りといえると思います。

キッチン天板とサイドパネルは同じ素材を使用。これもこだわりの1つです。

この回遊導線によって家事の効率性を高められるので、その分の時間を家族や自分のために充てていただきたいという願いをこめて企画しました。自分が生活した時を想像して、こうだったら心地がいいな、便利だなという空間を作ることができたと思います。

2階から階段を上がると視界の開けた空間が目の前に現れます。
1階と3階で合わせて4部屋あり一般的には十分であると言えるため、あえてフリースペースにしました。

テレビやソファを置いて第2のプライベートリビングにしてもよし、向かいの書斎と合わせて勉強スペースにしてもよし。コンセントもあるのでエアコンも設置できますよ。ライフステージの変化と共にもう1部屋欲しくなったら改築するのもいいと思います。暮らしを楽しむ場所として、お客様の発想のままに自由に使ってもらいたいです。